Graphics by SHO WATANABE

木材パルプを原料とする再生繊維のテンセル™リヨセルを採用したTree Tee。驚くほど軽く滑らかな肌触りを備えた生地は伸縮性・速乾性・透湿性に優れ、どんなハードな動きにも追従し、汗冷えも感じさせない。これからの季節のアクティビティや日常にぴったりの着心地を誇るこのTree Teeに、個性的なグラフィックをあしらった限定コラボレーションモデルが誕生した。

グラフィックを手掛けるのはアーティストのSHO WATANABEさん。アクリルのドローイングとコラージュを組み合わせた技法やペン一本で仕上げるペン画など、さまざまな手法を用いて紡ぎ出す独自の世界観で知られる作家で、ハワイにあるアートギャラリー「Green Room Hawaii」に所属し、その活躍は国内にとどまらない。また制作活動の傍ら、グラフィック&プロダクトデザイナーとして広告デザインやプロダクトのデザインを手がけるほか、自身のアパレルブランド〈Cloveru〉を切り盛りするなど、幅広いジャンルで活動している。



「20代でカリフォルニアへ渡り、現地でデザインの下積みを経験したのですが、当時一緒に仕事をしていたクルーたちの、真剣に遊びに向き合う生き方に衝撃を受けました。彼らはみな、仕事とは別に自分たちの遊びをベースにした秘密基地のようなスペースを持っていたのですが、そこでかっこいい大人たちを間近にしました。音楽や板ものの遊び、アンダーグラウンドなカルチャーがそのまま生き方にリンクしている、彼らのそういうライフスタイルに憧れたんです」

当時の憧れはそのまま、8年前に神奈川県青葉区にオープンした「THE SHOW room」に反映されている。SHOさんが好むヴィンテージと海や山にまつわるカルチャーが素敵に共存した空間は制作を行うアトリエ兼デザインオフィスであり、さらに〈Cloveru〉のショップとショウルームを兼ねている。つまり制作と発信の拠点なのだ。





東日本大震災をきっかけに、制作活動の手法を全てアナログに戻したというSHOさん。デジタルから脱却したことで「制作がより自由になった」と、この10年のクリエイションを振り返る。いまや僻地のサーフトリップにも電気のない山小屋にも、スケッチブックとペン1本を持っていく。電気がなくともこれさえあればなんの制約もなく制作に励めるのだ。

アナログに回帰したここ数年、力を入れているのがコラージュ作品だ。アクリルのドローイングの中に‘60s〜’70sのヴィンテージコミックから切り抜いた小さな吹き出しや漫画を埋めていく手法で、「現代の表現のなかに過去の産物を取り入れることで、アート作品でありながらヴィンテージ品のような価値観も生まれる」という、SHOさんならではのコラージュ作品である。“究極のアナログ”ともいえるこの手法ではオールフリーハンドという厳しいハードルを自らに課しており、コミックの切り抜きもカッターやハサミを用いず、一つ一つ手でちぎっているとか。





「アート作品の制作でもデザインの現場でも大切にしているのは、自分が続けている遊びやライフスタイルに培われた自分の爪痕をどこかしらに残すこと。それが自分の個性であり、続けることでスタイルになるのだと思います」

そんなSHOさんが描いてくれたデザインは、自身も常日頃から心を寄せる自然環境への想いを独自のタッチで表現したものだ。



「Houdiniは北欧のブランドらしい洗練された世界観をもつブランド。その世界観にうまくフィットするようミニマルなタッチのペン画で、海や山で遊ばせてもらっているという感謝の気持ちを表してみました」

今回描かれたのはトライバル風の直線が味わい深い“Drawing Logo”、山岳マップを海バージョンに仕立てた“3D Wave”、SHOさんがもっとも大切にしているというモチーフの一つ“Whale Love”、スウェーデン北部に位置するアビスコ国立公園を表現した“Abisko”の4種類。

シンプルで力強いタッチのペン画がHoudiniの新たな表情を引き出してくれる、この特別なコラボレーションの中からお気に入りのモチーフを探してみよう。



 







SHO WATANABE (ショウ・ワタナベ)
1974年、東京都生まれ。20代でカリフォルニアへ渡り、現地でデザインの下積みを経験。グラフィックデザインのセンスを培う。帰国後、デザイン事務所や設計事務所を経てデザイナーとして独立。’98年に自身のブランド、〈Cloveru〉を設立。一方、2000年代初頭からアーティスト活動を始め、エキシビションなどを精力的に開催。制作活動に勤しむ傍ら、子どもの頃から続けているサーフィン、釣りや素潜り、スノーボードなどの遊びの要素も大切にしている。最近の活動では5月28、29日にGREENROOM FESTIVAL‘22にて作品を展示。秋頃にはハワイ・オアフ島でもエキシビションを開催予定。

 





– Description –

“Drawing Logo”


今回のコラボレーションでは、あえて「描き込み過ぎない」ことでモチーフを生かすよう心がけました。筆を使って制作をする作家としてはついつい描き込みたくなる衝動に駆られますが、自分を抑えたことでミニマルな表現が可能になったと思っています。これは、愛用している製図用ペン(Sakuraの0.05mm)のタッチを存分に活かし、フリーハンドで仕上げたHoudiniのブランドロゴ。ロゴの中には直線を描き入れ、トライバルな雰囲気に仕上げています。

W’s Tree Tee Drawing Logo

M’s Tree Tee Drawing Logo






“3D Wave”


3Dで山を切り取る山岳マップに、もしも海バージョンがあったら……そんな自分の妄想から生まれたモチーフです。ミニマルに削ぎ落として表現することで、一つのラインが波に見えたり山に見えたり。見る人によってさまざまな見え方を楽しめるシンプルなデザインです。

M’s Tree Tee 3D Wave






“Whale Love”


サーフィンをしていることもあり、海や波を描いてくれとリクエストされることがあります。でも、あまりにわかりやすいモチーフって、「波が好き!海が好き!」って声高に主張しているようで、なんだか気恥ずかしいんですね。自分の絵のテーマが二面性で、陰陽のモチーフからひらめいたのがこの“Whale Love”というモチーフです。ごくシンプルな造形で構図も単純、なのにクジラにも見えるし地球にも見える、自分にとって大切なものを代弁してくれる。マザーアースへのリスペクトを込めた、僕がとても大事にしているモチーフです。

W’s Tree Tee Whale Love






“Abisko”


山を描いてほしいというリクエストに応じて描いたのが、アビスコ国立公園の風景画。Houdiniの洗練されたブランドカラーに馴染むよう、シンプルで力強いタッチで表現しています。山には波紋のようなラインを描き入れていますが、どこかトライバルモチーフにも見えています。

W’s Tree Tee Abisko

M’s Tree Tee Abisko






Sho Watanabe
@sho_watanabe_
https://www.showatanabe.jp


Cloveru
@cloveru_japan
https://www.cloveru.com


-Photo by
Daisuke Ishizaka
@deeeeee


-Text by
Ryoko Kuraishi
instagram @ryokokuraishi