Snow and Surf Style




北海道内陸の冬。

十勝岳連峰の麓にポツンと佇むジュニアこと山田一正の自宅を、けたたましい音と共に強烈な西風が吹き抜ける。

「あの風の音は、富良野スキー場などリゾートのコンディションが素晴らしいというサインです。そういう日はフィッシュボードを持ってリゾート内のツリーランですね」

マイナス10度前後の日常を真っ白に包み込む嵐のような風雪では、視界を確保できる森の中がジュニアの楽園となる。このエリア特有の水分をほとんど含まないサラサラのドライパウダーは、降雪がなくとも、風さえ吹けばリセットが確約されるスペシャルだ。

また満天の星空に照らされた翌朝は、十勝岳をはじめとした近隣のバックカントリーフィールドへ足を伸ばすタイミング。放射冷却でマイナス20度にまで冷え込むこともある環境下では、ドライパウダーなのに板が走らないことも少なくない。カチカチに硬くなった雪の結晶がソールに刺さり滑走性能を奪うからだ。

「冷えすぎたら少し標高帯を下げた樹林帯のバックカントリーを狙うし、雪が走るのであれば十勝岳エリアのアルパインまで登り、広くて大きな斜面にラインを描きます。家の近くだけでそれらを選ぶことのできる環境を選択した暮らしには、日々、感謝することばかりです」

そうした冬のライフサイクルは、早ければ11月から始まり、例年、5月いっぱいまで繰り返される。南岸低気圧の訪れで山のコンディションが微妙であれば、太平洋側でのサーフィンに勤しむ日もあると笑う。

ジュニアはダイナミックな極寒環境を、スノーボードやサーフボードに乗ることでマジックのようにホットスポットへと変換する究極のヨコノリラバーなのだ。


 





– Product Review –

「M’s Bouncer Jacket」

Houdiniコレクションで最大の保温力をもつインサレーテッドシェル。胸、肩、フード、袖外側、腰の濡れやすい主要な箇所はストレッチ性を備える防水透湿素材のSpheric 2-layer Hardshell™、腹部、脇下、袖内側、背中は丈夫で通気性が良く、撥水加工が施されたSpinner Ripstop™を採用し、エリアによって生地を使い分けている。中綿には軽量で速乾性に優れ、濡れても保温力を損なうことのないPrimaLoft® Black Insulation Riseを使用し、これは従来よりもロフトを確保できる新たな構造が特徴の、80%がリサイクル素材から作られた最先端の合成断熱材。そうした特徴から、ジュニアはリフトで回すリゾートライディングで着用。ストレッチの効いた動きやすさと軽量性は、ライディングを妨げることはないが、ツリーなどで生地を傷付けないように注意が必要。

M’s Bouncer Jacket





「M’s Pace Jacket」

滑らかな着心地と保温性をもつソフトシェルジャケット。生地のOcta C9 Softshellは耐久性のある表地と、穴の空いた中空糸に8本の突起を放射線状に配列したタコ足型断面のポリエステル繊維、Octa®を断熱材として裏地に使用。この組み合わせにより適度な保温力ながらも通気性に優れ、行動中も蒸れずにオーバーヒートすることはない。また表地は耐風性があり、撥水加工も施されているため、強い風や小雪、短時間の雨などから身体を守ってくれる。春シーズンの長いジュニアは、リゾートならば3月終盤から、バックカントリーならば4月中旬あたりから、アウターとしての着用頻度が増えていく。

M’s Pace Jacket






「M’s Moonwalk Jacket」

暖かく風通しの良いフード付きインサレーションジャケット。胸、肩、フード部分は丈夫で耐風性に優れるSpinner Ripstop™、その他の生地に高い透湿性と肌触りの良さを備えるC9 Ripstop™、そして中綿には軽量性と速乾性に優れ、濡れても保温力を損なうことのないPrimaLoft® Gold Active+を使用することで、通気性と保温性の両立を実現。ジュニアは寒い日にシェルの下に着込むことをベースとしながら、表地に施された撥水加工の特徴からハイクアップ時、またはスプリットボードのモードチェンジの際に冷えから身体を守るために使用。そしてまだ風の冷たい北海道の春のサーフィンで波を待つシチュエーションや、街着のアウターとして着回せることでも重宝している。

M’s Moonwalk Jacket






Kazumasa “Jr” Yamada
@jr__yamada


-Snow Photo by
Key Sato
@keyphoto


-Surf Photo by
Manabu Chiba
@shake_rock


-Text by
Die Go
instagram @digginmagazine