Trollveggen Rescue Series

Trollveggen Rescue Series

トレッキング、クライミング、トレイルランニング、スキー/スノーボード、MTBからハンティングまで、あらゆるアウトドアアクティビティをカバーするNORRØNAの製品は、フィールドで活動する多くのプロフェッショナルにも使用されています。ノルウェーでの山岳事故や遭難の救助に携わる山岳救助隊もまた、NORRØNAを使うプロフェッショナル集団のひとつ。厳しい自然環境のなか、過酷な救助現場で働く人々の声を受けて、今季、究極のレスキューシリーズが登場しました。

フラッグシップのDNAを受け継ぐ
NORRØNA史上最強の一着

「Trollveggen (トロールヴェゲン)」という聞き慣れない言葉は、ノルウェー中西部のラインハイメン国立公園内にあるヨーロッパで最も高い垂直の岩壁の名前です。Trollは巨人、Veggenは壁を意味するノルウェー語で、英語圏においては「Troll Wall (トロールウォール)」とも呼ばれています。

ボトムからトップまで、標高差1000mを超える巨大な岩壁の名前を冠したNORRØNAのトロールヴェゲンコレクションは、厳しい環境下でのアルパインクライミングにフォーカスし、機能性と耐久性を極めたフラッグシップです。今季、ここに究極のレスキューモデルが登場しました。

レスキューモデルの開発は、NARG(Norske Alpine Redningsgrupper=ノルウェー山岳救助グループ)と共に進められました。NARGは、岩稜帯や氷河帯のような特殊な装備や技術が必要となる場所で、警察などのレスキューチームに加わって救助活動をサポートするプロフェッショナル集団です。これまではNORRØNAの既存モデルを使っていましたが、過酷な現場での経験を基に、より救助活動に集中できるようにディテールを特化させました。

NARG(ノルウェー山岳救助グループ)の訓練の一場面
NARG(ノルウェー山岳救助グループ)の訓練の一場面
NARG(ノルウェー山岳救助グループ)の訓練の一場面
NARG(ノルウェー山岳救助グループ)の訓練の一場面
NARG(ノルウェー山岳救助グループ)の訓練の一場面
NARG(ノルウェー山岳救助グループ)の訓練の一場面
NARG(ノルウェー山岳救助グループ)の訓練の一場面

対話の末に完成したのは、一般的な登山で重視される「軽さ」はいっさい顧みず、岩や道具類との摩擦を気にする必要がないタフネスと救助活動における使い勝手のみを徹底的に追求したスペシャルモデルです。専用モデルの登場を機にドイツ、イタリア、アメリカの山岳救助隊での採用も決定しました。

先鋭的なレスキューモデルのベースになったのは、trollveggen Gore-Tex Pro Jacketです。原型となるモデルが最初に登場したのは1977年、ヨーロッパで初めてゴアテックスを採用する革命的なジャケットでした。続く1979年には、このジャケットを着た3人のノルウェー人クライマーが、厳冬期のトロールヴェゲン・スウェディッシュルートを2週間かけて初登攀しています。

1979年の歴史的なTrollveggen冬期初登攀
1979年のTrollveggen遠征
1979年のTrollveggen遠征
1979年のTrollveggen遠征
1979年のTrollveggen遠征
1977年に開発されたプロトタイプ

こうしてアイコンとなったゴアテックスのジャケットは改良を繰り返し、2023年秋冬の最新作は、初代から数えて12代目となりました。レスキューモデルはNORRØNAの誇りであるこのジャケットのDNAを受け継いでいます。アルパインクライミングの最前線から生まれたNORRØNA史上最強のジャケットです。

レスキューモデルのシェルジャケットとシェルパンツ
レスキューシリーズではシェルジャケットに加え、シェルパンツ、インサレーション、ソフトシェルパンツがラインナップ

trollveggen Gore-Tex Pro rescue Jacketトロールヴェゲン ゴアテックス プロ レスキュー ジャケット

trollveggen Gore-Tex Pro rescue Jacket M’s
ヘルメット+イヤーマフの状態に対応した大型のフード
大型フードの側面
フードの庇に配した雨樋。横たわる要救助者を見下ろしたときに顔に水滴が落ちないよう配慮された機能
後頭部のドローコードで頭の周囲、首の後ろで縦方向のフィット感を調節可能
右胸にはネームワッペンを貼り付けるベルクロスリーブパッチが付属
左上腕部には所属チームのワッペンを貼り付けるベルクロスリーブパッチが付属
リフトICなどが入れられるポケット。ポケットは左右両方の上腕部に装備
ロープをたぐる肘から下は200デニールでがっちりと補強。リフレクターも配置
フロントファスナーにはWスライダーを採用しハーネス着用に対応
胸ポケットのファスナーには、グローブをしていても掴みやすいように大型のタブを採用
胸ポケット内側のトランシーバー用メッシュポケット。アンテナを固定するループも付属
胸ポケット裏側にはスピーカーマイクのコードを引き出すための開口部を配置
両胸の内側にはグローブなどを入れるための大型メッシュポケットを装備
コードの端が垂れ下がらないように上向きで固定

メンブレンには耐久性を重視したGORE-TEX® PRO most rugged technologyを採用。軍隊向けに作られるウエアと同じく80デニールのリサイクルナイロンから作れらた生地を使用しています。ロープをたぐるために擦れやすい肘から下には、200デニールのリサイクルナイロンを当ててさらに強度を高めています。

もっとも特徴的なのはフードです。イヤーマフ付きのヘルメットの上から被れるように、横幅も大きくデザインしました。ドローコードで上下2箇所を絞れるようになっており、ヘルメットを被っていないときも頭にフィットさせられます。フードの庇部分には「雨樋」も付けました。上から覗き込んだときに要救助者に水滴が落ちないようにする工夫です。外側の6つのポケットは、利き手がどちらでも使いやすいよう、左右同じ形状にしています。多くの救助隊は、気を失った隊員からも必要なものを取り出せるよう、どのポケットに何を入れるかまでマニュアルで定めています。ポケットは左右対称の位置にあるので、どんな隊のどんなルールにも対応できます。

ジャケットとインサレーションは3色展開ですが、山岳救助隊員がレスキューの現場で身に付けるオレンジ色(Arednalin)が販売されるのは、じつは日本のみです。海外では山岳救助隊のメンバーは英雄視されています。混同を避けるためにも、採用国では一般には販売されません。

岩や氷、ギアとの摩擦にも負けないタフなジャケット
岩や氷、ギアとの摩擦にも負けないタフなジャケット
岩や氷、ギアとの摩擦にも負けないタフなジャケット
岩や氷、ギアとの摩擦にも負けないタフなジャケット
CREDIT
photo:Lars Petter Jonassen, Chris Holter text:Toshiaki Ito