Lens Review by Taro Tamai

– 概念を一変したレンズ –

厳冬期のニセコは、まるで鉛のような単色の世界に覆われることが頻繁にある。空と雪面の境界線は溶け合い、美しい地形の凹凸は影を潜める。これまでの私は、そうしたコンディションではピンクをベースにしたゴーグルレンズを使い続けてきた。それがベストであると信じてもいた。

ところが、先の冬に初めて使用したレンズ”Clarity Comp / No Mirror”によって、それまでの考えは一変した。ムラサキというカラーなのか、それともハイコントラストの仕様なのか、技術的な要因は私には分かりかねるが、とにかくよく見えるのだ。

あの鉛のような色の天候下でも、視界を気にすることなく滑走に集中できる。この変化は、非常に大きな意味を持っている。


玉井 太朗 (たまい・たろう)

スノーボーダー、サーファー。1962年東京生まれ。北海道ニセコ在住。日本のスノーボード黎明期の第一人者として競技界でも実績を築き、80年代後半からは国内外の山々を開拓してスノーボーダーとしてのファーストディセントを刻んできたプレイヤー。同時にスノーボードブランド「GENTEMSTICK」のファウンダーとしても世界から周知されている。tarotamai.com

-Comment by Taro Tamai
@tarotamai

-Photos by Katsuhide Fujio
@katsu.fujio


Clarity Comp / No Mirror

– 紫である理由 –

太陽から放射される電磁波のうち、人間が見ることのできる可視光線と呼ばれる光が眼を刺激し、明るさや色を感じさせている。その波長の領域によって異なる色感覚を与え、波長の長い順に赤、橙、黄、緑、青、紫の色を脳が認識する。この性質により、可視光線のなかで一番波長の短い紫が、もっとも地球上に届きにくい色となるのである。

– カール・ツァイス社製レンズ –

地上に届くまでに散乱しやすく、不足している紫色をレンズによって補うことで、眼から得られる情報をプラスし曇天下においても鮮明な視界を実現する。このノーミラーのハイコントラストレンズが開発されたのは、そうしたシビアな天候下でも結果を求められるコンペティションに対応するためだった。

VLT(可視光線透過率)は49%ながらも、バイオレットの着色感の強さがコントラストを生み出し、雪面の起伏を見えやすくすることを可能にした。それが、すばやく周囲の状況を把握しなければならないコンペティションに適した機能であり、バックカントリーなど降雪時の雪山にも対応する理由だ。

このレンズが初めから搭載されているモデルはなく、レンズ単体での販売か、スペアとして1枚付属するコンプシリーズにて入手が可能。


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