こんにちは。國光香子こときょんと言います。
私は直営店であるFULLMARKS 代官山店でアルバイトとして2年間過ごし、その後POCの営業(サイクル担当)となりました。
もうすぐ営業になって2年が経とうとしています。
『自転車は普段の足として常日頃乗っていて、変速ギア、ブレーキのついていない自転車のレースに出たり、シクロクロスバイクでトレイルを走ったり、MTBも大好きです。少し特殊ではありますが、ロードバイクは唯一持っていないジャンルとなります。』
というのが営業先に行っての自己紹介になるのですが、実は一番の趣味はクライミングです。
半ば相棒に近い自転車の話を差し置いてクライミングの話を今回はさせてください。
★クライミングに出会ったきっかけ
クライミングとの出会いは登山からの延長線上にありました。
登山は2006年から始めました。当時は日本100名山制覇を目指し、各地へ登山に行っていました。
山を知れば知るほど山の魅力は計り知れなくて、もっと深いところを知りたくなり、仕事を辞めて1人でネパールへ行き、1ヶ月半程トレッキングをした時期もあったほどです。
そこから冬山登山を初め、クライミングや沢登り、渓流釣り、冬山アルパイン、アイスクライミングなどさまざまなジャンルの遊びも行いましたが、中でも初めて自然の岩を登った時の感覚、気持ちの高鳴りは今でも覚えています。
そこからその感覚を求め、日々の生活を送るようになりますが、当時の仕事が忙しく、クライミングに時間を割くことができないまま月日が経ちました。
2021年2月に愛知から東京へ引越し、それと同時にクライミングに割ける時間が増え、岩場へもその時期から足繁く、足を運ぶようになりました。
今では1週間のうち5~6日はクライミングに時間を費やしているのですが、平日はクライミングジムへ行き、自宅でトレーニングをし、休日は自然の岩を登りに行くことが多いです。
岩場ではロープによる安全確保をしながら大きな岩壁を登るスポートクライミングをメインに行っていますが、時には3~5メートルの岩をロープなしでマットをひいて登るボルダリングをすることもあります。
クライミングを真剣に始めてからは4年程たち、まだまだ未熟者ですが、写真を通して皆様にクライミングの魅力をお伝え出来たら嬉しいです。
★山梨の某岩場へ
ビレイヤー(ロープを使ってクライマーの安全を確保すること)をお願いしていた、元フルマークススタッフの玉盛さんが前日の天候なども考慮し、おススメしてくれた非公開の岩場へと案内してくれました。
岩場へは深く轍(わだち)跡が残るがれた道をひたすら登っていきます。車の底を何度か擦りドキッとする場面もありましたが、無事に駐車場へと到着しました。
車から降りるといくつもの岩壁が目に飛び込んできました。(なんと岩場へアプローチ0分というとても恵まれた環境でした)早速荷物を移動させて、準備を始めます。
軽い準備運動をしてからハーネスを履き、クイックドロー(カラビナという支点確保の道具)を装備し、ロープをハーネスに結び、クライミングシューズに履き替えます。
まずはウォーミングアップとして簡単なグレードを登っていきます。
登り進めていくとボルトが打ってあるので、そこにクイックドロー、その次にロープをかけてさらに上へと登り進めていきます。そうすることでクライマーが落ちてしまっても最小限の落下で食い止めることができるのです。
危険なスポーツと思われがちですが、きちんと安全を確保しながら登っているので、意外と危険は少ないのです。
ゴールとなる終了点まで到達したら、ビレイヤーに下まで下ろしてもらいます。これが一連の流れとなります。
徐々にグレードをあげながら、3本登ったのち、最後に“おくりもの“というルートを登ることにしました。
このルートに設定されている5.11dという難易度は自分にとって最大限に近い難しいルートで、楽しみと緊張が入り混じっていました。
1本目登った時にはあっさりばらし(ムーブ解決/各セクションでの攻略)ができたので、2本目でRP(一度もロープに体重を移さずに登りきること)をしたかったのですが、強度が高く結局つなげきることができませんでした。
このルートの特徴は、ルート自体は短いものの全体的にホールドが小さく、岩質がガビガビしていて指への刺激が強いうえ、1手1手の強度が高かったです。
また、距離出しをしてから小さいホールドを取りに行かないといけない場面や、狭い足置き、レストができるポイントが見つけられなかったのが、私の中では核心だと思いました。
玉盛さんとのセッション(ムーブについての情報交換)ができたのもとても良い刺激となりました。
いつかまた訪れた時にはさらっと登れるように成長して戻ってこようと心に誓いました。
こうやって良きルートを見つけたり、目標とするルートとの出会いがあったり、岩の形状が美しく登ってみたいと憧れを持つことも多いです。
そこで、私がクライミングを始めてから最も印象に残っている目標とし、それを達成した経験をご紹介したいと思います。
★目標とするルートとの出会い
岩場に通い始めてからは常に目標(登りたいルート)を決めて通っていますが、当時の自分が登り切れるグレードから次のグレードにステップアップするにはどのルートにしようかと思案していた時、2023年春に小川山姉岩にある“イエロークラッシュ”というルートに出会いました。
薄かぶりの黄色い岩壁で、青空にすっと抜ける堂々としたたたずまいに、初めてその壁を見た時は胸が高鳴りました。
初めてトライをした時は絶望しましたが、フィジカル重視のこのルートは正しく私の苦手が詰まっていたので、だからこそこのルートを登れたらきっと大きく成長できるだろうなと確信しましたし、このルートを登りたいと更に強く思いました。
何度も登っているうちに少しずつ高度が上がっていき、可能性を感じられるようになってきました。
しかしある時、使っていたホールドが無くなっていて(岩ごとごっそり剥がれてしまった)ムーブの変更を余儀なくされ、新しいムーブを作るのにも時間がかかってしまいました。
そこから1テン(ロープに荷重を移すことで登ったとみなされない) が続き、思いの外長くかかってしまいましたが、トライを初めて13日目、やっと登ることができました。
それは雨の降る日でした。
何度も見ている景色だし、ましてや雨も降っているのに、登れたあとに見る景色はその他の完登にならなかった幾多もの晴天下のトライ時と比べて、こんなにも感動するものだろうか。
人生においてはじめて嬉し泣きをしたので、自分自身にも驚いたほどです。
そして、高難度クライミングの登竜門として数えられる“イエロークラッシュ”を完登したこの時から、ようやくクライミング人生のスタートラインに立ったように思います。まだまだ通過点でしかありません。これからどんなルートに出会えるのかがとても楽しみです。
★クライミングの魅力
クライミングを始めた時の楽しさはアドレナリンが出る、恐怖心が楽しい、考えて登るのが面白いなどそんな単純な事だったと思います。
今では一言では言い表せられないほど多くの魅力を感じており、自分自身と向き合うことができる手段だとも思います。この4年間で自分の気持ちの弱さや強さも知ることができました。
人と比べる必要はなく、常に自分自身との戦いです。努力すれば結果に繋がるし、サボればその分自分に返ってきます。実際は登れなくて苦しい時の方が多いくらいです。
でもどうやったらこのルートは登れるのだろうか思考を巡らせて、自分はこの動きが苦手だから練習しよう、ここの筋力が弱いから鍛えよう、このホールドが持てないから指のトレーニングをしよう、もう一度ムーブの構成を立て直そうなど、そういうプロセスが面白かったりするのです。
登れなくても、少しでも進歩があると嬉しいですし、壁にぶち当たればぶち当たるほど、登れた時の爽快感と達成感がたまらないのです。
また、ランナーズハイと同じような経験をしたことが1度だけありました。
その時は周囲の音が聞こえず、自分の呼吸と目の前の岩だけにただただ集中できる瞬間があって、ビレイヤーがかけていてくれた声援やアドバイスも全く聞こえませんでした。それがイエロークラッシュを完登できた時なのですが、そんな瞬間をまた味わいたいです。
クライミングを続けていたらこの先もっと大きな壁にぶち当たる場面があると思いますが、これからの自分の変化がとても楽しみです。
日々自分自身と向き合い、自分の進化を感じることができるのがクライミングの魅力だと思います。
POC SALES
國光