Tomomi “Sheesa” Kuwahara

「印象深いライディングは時代時代でいくらもあるけれど、初めてゲンテンスティックの “FLOATER161ソフトフレックス” に乗った時のこと。あれも忘れられないんですよ」

Photo: Tomoko Okazaki

桑原 知美

Tomomi “Sheesa” Kuwahara

1968年、福岡県生まれ。ニセコ在住。95年からアラスカに通い、チャージしたライディングに情熱を注いできた日本人女性としては数少ないビッグマウンテンライダー。様々な経験を活かし、プライベートレッスンやキャンプをおこなう「SHEESA CAMP」を主宰している。


Photo: Yoshiro Higai

-お気に入りのノローナ製品

「tamok Gore-Tex Pro Jacket」

アウトドアブランドのウエアとしてはすごく特徴的な長い裾と、アースカラーで切り返しのあるデザインが気に入っています。裾が長いことで暖かく、上下から開けられるダブルファスナーがあるので動きを妨げないところはしっかり考えられているなと思います。


「tamok Gore-Tex Pro Bib」

長年ビブパンツには抵抗があったんですが、このビブに出会ってからはすっかりビブ派になっています。女子はトイレが面倒なので心配だったけど、サイドのファスナーを下ろして横にずらすだけでサクッとできちゃいます。これには驚きました。ジャケットも脱がずできるので山でも問題なかったです。


「lyngen Alpha90 Jacket」

こんなに薄いのになぜあったかいの? と思うんですが、本当にあったかいんです。北海道の冬は冷えるのでベースレイヤーの上にこのジャケットを着て、その上にダウンか綿入りのインサレーションを着ています。ベースレイヤーとダウンとの間に程よい空気層ができるのがいいんじゃないかと思います。

Photo: Toru Kuwahara

-1年間のライフサイクル

冬はスノーボード、春になれば山菜採り、そしてSUPとサーフィン。今年は時々スケートボードも楽しみました。そしてシーズン前に味噌を仕込んで冬を待つ、という感じでしょうか。

Photo: Tomomi Kuwahara

夏に体を動かすことがずっと滑り続けていくために絶対必要なことだし、季節のものや酵素を意識して食事をすることも滑り続けるためには大切なことなので。

毎年7月はSUPキャンプも兼ねて千葉県の海へ。 Photo: ZZ Chiba

-ホームマウンテンのこと

ニセコグランヒラフをホームとして30年が経ちます。自然の地形を活かしたコースはスキー場でありながらいつでもBCを滑るための練習ができるような場所です。なかでもスーパーコースという沢状のコースはまさに自然地形そのままなので急斜面もありツリーもあってなかなか難しいです。だからこそライン取りを考えるのが楽しくて飽きることがないです。

山の麓にはたくさんのお店が立ち並ぶビレッジがあり、ローカルが住み着き毎日朝イチに並ぶ人たちがいるような場所です。その雰囲気が好きでずっとここで暮らしてきました。

最近は様々なことが変わってきていますが、相変わらず雪が降れば最高に面白いスキー場だと思います。この数年は激混みしていましたが、今はコロナの影響で海外からのゲストが減るようなので久しぶりに空いているスキー場を楽しめるシーズンになりそうです。

Photo: Toru Kuwahara

-もっとも印象深いライディング

それは時代時代でいくらもあるけれど、初めてゲンテンスティックの “FLOATER161ソフトフレックス” に乗った時のことも、とても印象深いんです。

Photo: Yoshiro Higai

ゲンテンの始まりは3つのモデルからでした。自分はそのうちの1本、MOMENTUMというレディース向けのモデルに乗っていたけど、155cmという長さはレディースボードとしてはわりと長く、安定感もよく取り回しが楽だったので気に入っていました。

その数年後、機種がだんだんと増えていく過程で登場したのがFLOATER161のソフトフレックス。それに乗って山を滑ったとき、そのスピードと抜群の安定感はそれまで乗ってきたボードとはまったく違っていて、1.5倍のスピードで滑れるんじゃないかと思ったほど。あの感覚は今でも忘れられません。そして「あ~そういうことだったのか」と妙に納得したんですよ。

Photo: Yoshiro Higai

レディースボードで周りのメンズに付いていきながら必死に大きなターンをしようとしても、いまいちスピードに乗らないと思っていたのはコレかと。やりたかった事がいきなりできたわけですからね。

その当時は161cmでウエスト25cmのレディースボードなんてかなったので(今もか?)、安定感抜群で踏めばターンが加速する感覚に魅了されましたね。その時の自分の気持ち(気合い)や体力筋力などのバランスと完全に合っていたのだと思います。それからアラスカを滑るときはそのボードを持ち込むようになりました。

2007年、FLOATER161ソフトフレックスに乗りアラスカの斜面にターンを刻む。 Photo: Yoshiro Higai

-グーフィーフッターで得したこと

実は私は写真や動画を見ても、そのライダーがレギュラーかグーフィーかに気がつかないんです。サーフィンだとわかりやすいけど、スノーボードだと気をつけて見ないと分からない。いつもレギュラーの人の後ろを滑って真似したりしていたせいか、動きを見ることはしても、どっちに向いているかは見てないんですよ。キャンプで教えている時も、動きの違和感とかズレを見ているだけなんです。

Photo: Harumi Yamauchi

そういう脳内変換ができるようになったのは、もしかして少数派のグーフィーのおかげでしょうか? 得したかどうかといえばあまり得した気はしないです。逆に年間100人くらいのプライベートレッスンをしていますが、レギュラーの方には申し訳ないなと思いますよ。

強いて言うなら、ウエアが変わっても板が変わっても、”レディースでグーフィーと言えばシーサー”という感じで覚えてもらいやすいのは良かったですね。

シーズンを通してSHEESA CAMPへの参加者はほぼレギュラー。グーフィーは5%にも満たない。

-新しいチャレンジについて

ゲストハウスをオープンする予定です。まだまだリノベーションなどいろいろあるんですけどね。場所は旭川空港から20分ほどの美瑛町朗根内というのどかな場所ですが、旭岳、富良野、カムイ、十勝岳方面など、コンディションややりたいことに合わせて行き先を決めやすい場所にあるので便利だと思います。

滑って帰ってきたら道具をしまう専用ロッカーやメンテナンスコーナーがあるなど、滑り手が快適に過ごせるお宿。そして体を癒して翌日も元気に滑れるような宿を目指しています。そのためにお風呂とサウナはちょっとこだわる予定なのでお楽しみに。そうそう、この話をすると美瑛町に引越しするのかとよく聞かれますが、ニセコでのキャンプやイベントも継続していきますのでニセコにも遊びにきて下さいね。

美瑛町のゲストハウス付近からは十勝岳連邦を眺めることができる。Photo: Tomomi Kuwahara


-Text by

桑原 知美 / Tomomi “Sheesa” Kuwahara
@sheesaniseko


SHEESA CAMP
instagram @sheesacamp
http://sheesa.net




-Photo by

樋貝 吉郎 / Yoshiro Higai
@yoshirohigai
https://studiofishi.com


岡崎 友子 / Tomoko Okazaki
@mauitomo
https://www.tomokookazaki.com


ZZ Chiba
instagram @zzchiba


山内 はるみ / Harumi Yamauchi
instagram @omharu


桑原 透 / Toru Kuwahara
instagram @mokuemon_niseko
http://mokuemon.com