Ryo Masumoto

クライミング第一、仕事は二の次
それでも家族との暮らしを最優先する
増本亮のクライマーズライフ


クライマーや山岳ガイドが多く暮らす山梨県北杜市に住み、車で40分ほどの瑞牆山でのクライミングに多くの時間を費やしている増本亮。アルパインクライマーとして世界の山々で実績を重ねながら、今もなお、瑞牆山に惹かれる理由はなにか。結婚して家庭を持ちながらも、クライミング第一、仕事は二の次という生活を貫けられる秘訣とは? 山と向き合いながら、本当に大切なものを手にした男。そんな増本亮のリアルクライマーズライフ。

増本 亮 (ますもと・りょう)

1979年、静岡県生まれ。山梨県北杜市在住。瑞牆山を愛するアルパインクライマー。アラスカ、ヨセミテ、ペルーアンデスなどでのクライミングを経験。2011年中国ミニヤコンカ山群ダッドメイン東壁初登攀でピオレドールアジアのゴールデンクライミングブーツ受賞。2013年、2014年はパタゴニア・フィッツロイ山群の岩峰で困難な連続登攀。2014年カラコルム・バダルピーク初登頂。2017年カラコルム・ベアトリス東壁フリー化。国立登山研修所講師。



– Episode 1 –

世界の山々で実績を重ねた増本が
今なお登攀意欲をかき立てられる
それが瑞牆山の魅力




本気度の高いクライマーにとって、瑞牆山は特別な存在だ。登攀意欲をかき立てる花崗岩の岩峰が随所に林立し、ルート総数はトポ(ルートガイド)に掲載されているだけで500本前後。その大半が傾斜の強い壁に拓かれたハードルートで、取り付くには鍛え抜かれた技術とフィジカル、それにちょっとした覚悟が必要だ。

そのうえ、確保支点を自分でセットしながら登るトラッドルートや、ルート長が100mを超える本格的なマルチピッチルートも数多く、たとえクライミングジムで高難度課題が登れたとしても、それだけでは安易に取り付くことすらためらわれる、クライミングの総合的な能力と経験が求められるエリアである。



増本亮も、そんな瑞牆山のハードコアに強く惹かれるひとり。6年前に北杜市に移り住んでからは、年に1、2回の海外遠征のほかは、シーズンの大半を瑞牆山でのクライミングに費やしてきた。世界の山々で研鑽を重ね、登山界にその名を知られたアルパインクライマーの増本でも、まだまだ惹きつけられるという。





「神奈川県から通っていた時代も含めて、今まで自分が瑞牆山で何本登っているのかさえわかりません。一時は記録を付けていたんですが、結局、見返さないからやめちゃいました。でも、逆に『これから登りたいルートリスト』は常に頭の中にあります。それに瑞牆山には新しいルートの可能性がまだまだ残されています。自分が開拓を手がけているプロジェクトもあるし、誰かがどんどん新しいルートを拓いている。なので、登っても登っても課題は尽きないんですよ」

クライミングとは、詰まるところチャレンジである。登れなかったルートを登りたい。あるいは、まだ誰も登ったことのないラインを登りたい。そうした意欲こそクライミングの本質であり、そんな課題が尽きないのが瑞牆山の魅力。なかでも増本が気に入っているのは、いまだルート開拓の余地を残している点だ。



「僕のなかでは瑞牆山での大きな柱のひとつがルート開拓です。いつもどこか、自分が登りたいところ、登れそうなラインを探しながら山のなかにいる。今は既成ルートだけで十分楽しめるので、苦労して開拓までしてクライミングを楽しもうというのは、ごく限られた人間です。だから、残されているのかもしれませんね」

瑞牆山はどこのルートに行くにも、取り付きまでが長いことも特徴のひとつ。小川山なら30分のアプローチというと遠く感じるが、瑞牆山は30分で着くならかなり近いという感覚にすらなる。それだけ山が奥深いということだ。





「奥のほうの岩場で顔を合わせるのは、だいたい知り合いか、知り合いの知り合いでした。それでも、最近ではマルチピッチやトラッドをやる人が増えているのを感じます。グレードを追いかけると必ずどこかで行き詰まりますが、トラッドやマルチはグレードに関係なく楽しめます。そうやってクライミングの幅が広がり、新しい楽しみ方を求める人が増えているのはいいことだと思いますね」






 





– Product Review –

「falketind Octa Jacket」

適度な保温性と防風性がある軽いアクティブインサレーション。行動中にずっと着ていても汗抜けがとても良く、サイドは伸縮して動きやすいところが気に入っています。グリーンシーズンでも山では寒いことが多いのでアウターとして、ウィンターシーズンではミッドレイヤーとして一年中着用しています。

falketind Octa Jacket [M]

falketind Octa Jacket [W]





「svalbard wool T-Shirt」

メリノウールの肌触りがとても気持ち良いTシャツ。絶妙な割合で化繊が混紡されていて、適度な伸縮性と速乾性を併せ持っています。裾の裏地にはメガネやサングラスを綺麗に拭くためのクロスが付いているのも便利。クライミングからハイキング、日常生活と幅広く使っています。

svalbard wool T-Shirt [M]

svalbard wool T-Shirt [W]





「svalbard light cotton Pants」

オーガニックコットンとリサイクルナイロンの混紡素材を使ったパンツ。シンプルでありながら、十分に機能的です。パッと見は普段使いがメインのように思えますが、しっかり立体裁断されていて、裾を絞ることができるのでクライミングの動きもまったく妨げない。アプローチではサイドのベンチレーションが重宝します。生地の厚みがちょうどよく、春から秋にかけてのクライミングで活躍しています。

svalbard light cotton Pants [M]

svalbard light cotton Pants [W]





「trollveggen 40L dri Pack」

ロープ、ハーネス、ヘルメット、シューズなどクライミングに必要なギアを入れるためのバックパック。40Lという一番使いやすいサイズ感で、つくりはシンプルながらロールトップという点が気に入っています。ロールを広げると、見た目以上に大きく開いて、中のモノがよく見えるために、素早く荷物を出し入れできるのがいいですね。

trollveggen 40L dri Pack






Ryo Masumoto
facebook @ryo.masumoto


-Photo by
Yosuke Kashiwakura
@yosuke_kashiwakura


-Text by
Chikara Terakura
instagram @c.terakura