Photography [Kenji]

 その日の相棒

 アルペンスキー、スキークロスを経てゲレンデからバックカントリーまであらゆる雪山を滑りスキーの魅力を発信し、ウィンターシーズンはVECTOR GLIDEのスキー開発に携わり、グリーンシーズンは自身のスタンドアップパドルボード(SUP)ブランド”PEAKS5”でボード開発も行ないながらSUPガイドとして活動を続けてきた。自然豊かな奥信濃で木の上に浮かぶ1日1組限定のプライベートキャンプ”Tree Camp”や日本一長い信濃川を下るスタンドアップパドルボードツアーを運営しているNozawa green field 代表。今回はお気に入りの「HESTRA」について紹介したいと思う。

 HESTRAのグローブを使いはじめてからもう10年ほどになる。今ではお気に入りの歴代HESTRAグローブ6双ほどに絞られ、その日の気分やどんな山にいくか、どんなウェアを着るかなどでその日の相棒を決めている。冬になると自宅のアウトドアギアの棚が夏のギアから冬のギアへと衣替えがされる。この棚にお気に入りグローブもずらりと並び、野球選手がベンチに座り自分の出番を待つように毎日雪山への出番を待っている。

”OMNI GTX FULL LEATHER”

 なかでも特に自分がお気に入りの2モデルを紹介しよう。まずは”OMNI GTX FULL LEATHER”。このモデルはGORE-TEXを使用し特に耐水性に優れている。多少外側の革が濡れても中まで濡れるということはまずない。ハイクアップを要するバックカントリーエリアや春にこのモデルを使用する事が多い。

次に”OMNI RIB MITT”。 MITT系はおしゃれだしグローブをしたままの作業が比較的少ないゲレンデで滑る際に使用する事が多い。いま紹介した2モデル以外にも多くのライダー達が言うようにHESTRAは機能性に優れているという事は今更言うまでもない。あえてここでは機能性についてあまり触れず、HESTRAが与えてくれる特別な時間を紹介したいと思う。

 “もの”を大切に扱う事

 HESTRAグローブは使えば使うほどに自分の手に馴染み、自分仕様に徐々にカスタマイズされ、より使いやすくなることが魅力だ。ただ、より長く使うにはメンテナンスも必要になってくる。そこでHESTRAは「良いものをより長く使ってほしい」ということからか撥水性と耐久性を強化するためのグローブ専用オイルのレザーバームの使用をすすめている。消費社会である現在において良いものをより長く使ってほしいという姿勢は良いプロダクトを提供し続けるHESTRAのブランドとしての自信の現れだろう。自分はグローブ新調する度にまずこのレザーバームをグローブに塗る。通常は使用後に使う事をおすすめしているが撥水性強化などに加えて、「これからよろしく」という意味も込めて必ずこの儀式にも似たような時間をつくっている。

そこへの思いを巡らせる事

 シーズンの終りには今度は「ありがとう」という気持ちを込めて再び時間をかけてこのレザーバームをグローブに塗っていく。シーズン終りにひとつひとつのグローブにレザーバームを馴染ませながらそのシーズンを振り返る。そんな特別な時間を与えてくれるギアはそう多くないのではないだろうか?またものを大切に扱う事を再確認する大事な時間でもある。おかげで冒頭でも書いたようにHESTRAを使って10年ほどになる。お気に入りのなかには、8シーズンほど雪山を共にしている相棒もいる。ものが多種多様にあふれる現代。HESTRAのような機能性だけではなく雪山に立たずともそこへの思いを巡らせる事ができる時間を与えてくれる特別なギアを自分なりに探してみても面白いのではないだろうか?

この原稿を書いている今日が今シーズン初めて雪山に立つ日になりそうだ。

”WAKAYAMA”

 昨シーズンHESTRAのなかでも評判になった”WAKAYAMA”でシーズンインをする。既に”WAKAYAMA“との挨拶の儀式は済ませている。今年も待ちに待った季節が始まる。信頼できるお気に入りのギアと共に今シーズンはどんなシーズンになるのだろうか?

Have a great white season!!

河野 健児

Kenji Kono

 

★★★★★

次回は、長野県の南西部にある御嶽山の麓に生まれて、如何に滑り続けるかを最優先し、高校卒業後スキーバムとしてのキャリアがスタート。毎年夏にはニュージーランドで滑り、15シーズン位過ごし、多くの刺激と影響を受けスキー本来の楽しみ方を体験している古瀬 和哉氏の登場です。