Photography [Yuta]: Yusuke Hirota

道具の全ては良き出会い

  北海道の高校を卒業後、憧れだったウィスラーに渡った。それから15年間、カナダのバックカントリーで活動を続けてきた。氷河の移動はスノーモービル。春のトリップは藪漕ぎから、ちょっとした岩登りまで。様々な方法で山にアプローチし、最終的には急斜面を滑る。そんな活動を続けてきた。ここ数年は、川崎に事務所を構える映像制作会社に在籍し、ライディング以外にも、ライティング、フィルミングなど、こちらも様々なアプローチの表現活動を試みている。

  僕にとって道具選びには3つの基準がある。一つは、その道具が活動する環境に耐えれるかという事。二つ目は、シンプルにその道具が好きかどうか。 身につけることによって、ちょっと疲れた日や天気が悪いために気持ちが山に向かない時に、前向きな後押しをしてくれるものが良い道具だ。最後の一つは、出会い。僕が今使っている道具の全ては良き出会いによって使用することになったものだから、出会いが道具選びの要素から外れることはない。

 今回は出会いを交えて僕が使用する道具を紹介したいと思う。先ず、この記事の発信元でもあるフルマークスが日本で輸入販売するHESTRA(グローブ)、POC(ゴーグル、プロテクター)というブランドについて紹介したいと思う。

フルマークスとの出会い

  HESTRAは元々は木こりが使用する作業グローブだった。木こりという職業は、道もないような藪の中を分け入り、重たいチェーンソーを操って大木を切り倒す仕事だ。当然、木を倒す方向を間違えれば命取りになるし、刃が剥き出しのチェーンソーの操作は相当に気を使うものだろう。そんな過酷な仕事を支えるために作られたお手製の皮グローブが発展したのが今のHESTRAなのだから、使いづらいはずがない。POCのヒストリーについては聞いたことがないのでここでは割愛✂️ その代わりに、フルマークスという会社について説明したいと思う。

 先ず、社長の若さんは社員の誰よりも雪山に行き、屈強な山男を前にして誰よりも酒を飲む。We propose how to play「私たちは遊び方を提案する 」とホームページのトップ画面で謳うように、遊びに本気な人である。遊びが仕事で仕事が遊びだから、必然的に道具へのこだわりも強くなる。そんな社長を筆頭に社員の皆さんがプレイしまくっているのが、FULLMARKSという会社であるそんな会社が扱う道具を選んで間違いない。フルマークスとの出会いが僕のスノーボーダーとしての道を拓いた。皆さんも道具選びを通してそんな出会いをしてほしい。

球面球面していないデザイン

  POCの中でも最近特に気に入っているモデルはFOVEA。このモデルの好きなところは、球面タイプの機能性を持ちつつも、球面球面していないデザインというところ。機能の特徴としては、視野が広い、曇りづらい、レンズと目の間のスペースが沢山あり、圧迫感がない。デザイン性は見た目通りシンプルなものだが、それが北欧らしい洗練されたデザインという気がして気に入っている。それから、ヘルメットとの相性が良いのも好きなところ。

 サングラスは、 Did Glacier Jeremy Jones Edition / ジェレミージョーンズモデルを使用。氷河での行動は雪面に当たった日差しの照り返しで目をヤられることが多い。そういう場合に、必要なのがサイドに取り付けられたシールド。僕の場合は目から来る疲れで直ぐに頭が痛くなったりするので、シールドはもはや必需品となっている。風避けにもなり、ちょっとしたライディングをする場合にも向いている。

Ultra mountain twin

 様々な山のシチュエーションに合わせて、それぞれに特化したシェイプのスノーボード、スプリットボードを取り揃えているジョーンズスノーボード。僕の中で、最近ヒット中なのはこの写真の板 Jones Snowboards / Ulta Mountain Twin】従来のMountain Twinよりも全体的に硬く、粘りのあるライディングができる。急斜面でのグリップ感とか安定感、あとはツインだから遊びやすいというところがすごく好きなところ!どこにでもありそうで、でもなかなか巡り合わなかった一本だとおもう。

完全手編みのビーニー

 お気に入りの帽子、LADE BIENIEは僕がカナダの雪山に通いだした10代の頃からの繋がりである。今から16年も前の話だ。ブランドオーナーであるヨシ君は、当時自分で編んだ毛糸のニットを友達に売ったりして生活のための小銭稼ぎをしていた。そのヨシ君が今もカナダで活動するアーティストの「TAKA SUDO」と組んで始めたのが、LADE CLOTHINGというブランドなのである。完全手編みのビーニーなんて、時間とコストばかりが、かかってしまって儲かるはずなんてもちろんない。今は家族で山形の山の近くに移り住みブランドを続けている。雪山が好きでしょうが無い人が手で作るもの。その温もりを感じながら滑ってほしい。

TADPOLE

 TADPOLE」は、僕がずっとお世話になってきたSPINYという平塚のプロスノーボードショップの元店員だったケンゾー君が独立して始めた革細工のブランド。抜群のセンスと遊び心で、新しいものを随時気が向くと作っている。例えば、財布やベルトなどの小物類、僕のお気に入りはブックカバー。これがほしいと言うとなんでも作ってくれる。最近では勝手にHESTRAのグローブをカスタムしていたら、フルマークスの若さんに「俺のも頼むわ!」なんて言われてブチ上がっていたけど、こういう遊び心が物作りの原点なのだろうなーと、思ったりする。細かい部分はあまり気にしない、一番大事なのはノリ!スノーボーダーですから!

 さて、いよいよ今シーズンも始まります。みなさん、道具選びは出会いが大事!プロショップの店員さんはみな滑るのが大好きだし、楽しみ方を知っています!楽しそうだなーって思う、その気持ちに正直になって道具を選び、そして山に行きましょうーー!

渡邉 雄太

Yuta Watanabe

 

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次回は、八甲田山を中心に北東北の自然の中で、トレッキング、 カヤッキング、バックカントリー スキー,スノーボード等、様々なツアーを行っている八甲田ガイドクラブの登場です。