Satoshi Tsukahara

バッグとは本来、物を入れて持ち運ぶための道具。
とてもシンプルな考え方です。

革新的なデザインや強烈なデザインを求めるのではなく、先人達が残した気づきと知恵を大切にし、仲間であるサポートライダーのフィードバックを基に細部まで気を配り、”繊細なバランスから生まれる必然的デザイン”をデザイン哲学として追求します。

「バッグは冒険に欠かせないパートナー」

バックカントリー用のバックパックからトリップに必要なバックなど、多機種にわたって、 フィールドで活動する彼らの気づきと知恵に敬意を払い、日本人の感性が生み出すバッグを発信します。

Plus one works / Shumari35

僕が考える雪山での行動は常に 3S がベースとなっています。この 3S とは、滑りたい!叫 びたい! スーパーハッピーパウダーランを!!…ではなく(笑) 、シンプル、スピーディー、 セーフティーであり、この 3S をいつ何時も心がけて行動するようにしています。

厳しい環境下での判断や作業は常にストレスを抱えることになるので、できる限りストレスを軽減する努力が必要になるのです。

長年のガイド経験から得たアイデアを集約して生み出されたお気に入りのバックパックが、Plus one works / Shumari35です。手放せないアイテムです。

バックカントリーガイドとして活動する中で、日々溜め込んだたくさんのアイデアを最大限聞いてもらって開発に携わることのできたBC スノーボーダーのためのバックパック『Shumari35』

このザックの特徴はなんといっても、大きく口が開くロールトップ のギアラック。このロールトップ機能によって、いかなる時も板を装着したままストレスなくスノーセーフティギア(ショベル、スノーシュー、プローブなど)を取り出すことができます。

ラックの中が暗くてギアを選別しづらかったり、ぐちゃぐちゃになるのを防止のするために、部屋を作って色分けし、より使いやすくなっています。

ロールトップギアラック

Shumari35の代名詞でもあるロールトップギアラック。そもそもハイク時に着ないジャケットをどうしたらよいだろうという発想からこの機能が生まれました。ザックの中にしまうには嵩張るし、スノーボードと一緒にストラップで留めたり板に被せたとしても、雪で濡れたり、風で飛ぶのが心配だったんですが。この機能のおかげでそんな心配どこ吹く風ですね() 簡単に取り出せ、しっかり固定もでき非常に使えるシステムです。

もちろんジャケットをしまっておく以外にも、ヘルメットやアイゼンの収納にもバッチリです!!

ストラップ(色分け)

バックカントリーでの行動、とくに滑走準備などは、いかに迅速に行なえる事がカギとなります。スキーヤーのザックと違い、スノーボードやスノーシュー、ストックなど様々なものを括り付けることが前提のこのザックには、よりシンプルに各ギアの脱着が行えるように、ストラップを色分けして作業をし易くする工夫をしています。

スノーボーダーが使うピッケルは短めのタイプが多く、今までは取り付け場所が限られてたり、無いものが多かったのです。

このギアラック内に収納できるアックスホルダーは、板とも干渉しづらく

春のスノーセーフティーギアや、アルパインエリアでは必携のピッケルを躊躇なく山に持っていくことができるようになりました。

背面アクセス&パッキング

頻繁に使うものからもしもの時にしか使わない非常用装備まで、それぞれを明るい色の防水パックなどで色分けし、優先順位で収納場所を決めておけば、吹雪の中でも素早く濡らさず必要なギアを取り出せます。

スタビライザーストラップ

ショルダースタビライザーとともにウェスト(ヒップ)スタビライザーは重いザックを背中にしっかりフィットさせるための機能です。ザックを担いだり降ろしたりするときに行なうこの作業を、より素早く行うためにストラップによるクイックリリース機能が付加されているのが◎

 

ゴーグルポケット

ジッパーが開閉しやすく、板固定時も干渉せず、ストレスなく使えるユーティリティポケットです。内部も余裕の大きさ(ゴーグル2個分)なので、僕はゴーグルやサングラスケースを入れておく以外にも、ビーニーやバラクラバなどを入れて滑走前の作業をワンアクションで行えるようにしています。

ショルダーハーネス&ウェストハーネス

バックカントリーでザックを使用するにあたって気に掛けるポイントがもう1つ!背負い易すく動きやすいというバックパック本来の快適さがあるかどうかを常に求めています。

ポイントは、ショルダーハーネス、ウェストハーネス、そして背面パッドの3つが重要となってきます。Plus oneworks/Shumari35では日本人の体型に合わせて形状が設計されており、やわらかくて体に馴染みやすい素材を使用しているので、重い装備を背負っても、いかなる環境下でも、快適な背負い心地で、登りや滑走時にベストパフォーマンスを発揮しやすいザックとなっています。

ロールトップ、背面アクセス、ゴーグルポケット、ウェストポケットの各収納荷室が、バランスよく効率的な配置になっていて非常に使いやすくなっています。

見た目よりも容量があり、より研ぎ澄まされたシンプルなデザインは、無駄な機能を省いた究極のバックカントリーザックとしてぼくの山行になくてはならない装備のひとつです。

長年のガイド経験から得たアイデアを集約して生み出されたこのバックパックは、北海道の雪世界を自由に駆け回るキタキツネをイメージして 『Shumai -シュマリ-』(アイヌ語)と名付けました。

シンプルなデザインと色遣いも気に入っています。ス ノーシューを履いて雪山を駆けまわるスノーボーダーにピッタリのバックパックです。

 

HESTRAERGO GRIP ACTIVE

厳しい雪山で、シンプル、スピーディー、 セーフティー、3S を実現させてくれるグローブもあります。

表面には、ウィンドストッパー、手のひらの素材には柔らかくて耐久性に優れたヤギ皮が使われていて、伸縮性、フィット感、そして高い保温性を実現しています。

32950 ERGO GRIP ACTIVEの特徴は、指先に向かって内側にカーブする立体裁断になっているのが◎。これによってストックを握ったり、ギアの扱いや取り出し時に掛かる負荷が格段に軽減されます。

シーズンに100日以上、雪山に入り、2シーズン使ってようやく綻びが出てくる程度のヘビーデューティーさもお気に入りの理由でもあります。

                          塚原 聡

                                                               Satoshi Tsukahara

 

★★★★★

次回はプロスキーヤー小路口 稔 氏の登場です。

ビックマウンテンスキーヤーとして活躍しながらも北海道のアウトドアショップ秀岳荘 北大店に勤務し、様々なウェアやギアにも精通する小路口さんのコメントにご注目ください。