道具の重要性

両親がスキーインストラクター、45年程前のスキー技術選手権、長野県代表だった父の影響から幼少期はスキーに夢中だった。冬になると、毎晩の様に板を手入れする父の姿を見ては真似して道具を触り、自然と道具に慣れ親しんだ。それがtuneを始めたきっかけだろう。何か明確な事を教わった記憶は無いが、道具の重要性はしっかりと教わったと思う。

正確なボードコントール

21歳の時、立木に激突して内側副靱帯を断裂するまで「自分は怪我なんてしない」と思っていた。その怪我を境に自分の身体のことを気にする様になり、スノーボードの身体へ対する負担やダメージを考える様になった。そこで使用し始めたのが、カナダBi-op社のインソールだった。当時、日本でのカスタムインソールの知名度は低く、自分も半信半疑で使い始めたけれど効果を感じるのは早かった。5年後、余りに快適なので自らBi-op社official のインソール整形資格を取得した程だ。

一般的に熱成形やコルク材を用いた快適性を求めるインソールが多い中、bi-op社のインソールは矯正を目的としている。一足ずつ型を起こしてプレス機で押し抜く技法を用い、強度が高くヘタらないので長期に渡り使用することができる。画像のインソールは普段用だが1998年製造の20年モノだ。高い精度で作られたフットベッドは高い安定性を生み、繊細な足裏感覚を養い、正確なボードコントールを可能にする。足裏が常に一定のポジショニングなので疲れも少ない。普段は見えない地味な存在だが、このインソールの存在は大きい。

しっかりとファイルをホールド

これはエッジを削る為のヤスリをガイドに止めるクランプだが、実に良く出来ている。一般的な挟んで止める物よりもしっかりとファイルをホールド出来てトラブルも少ない。何でも同じ事が言えると思うが、確実な道具を使えば仕上がりも滑りも違ってくるはず。

lyngen Powerstretch Pro Hoodie

シーズン通して常に着用しているのが lyngen Powerstretch Pro Hoodie だ。既に2シーズン、フルに着用しても殆どダメージが無い。ガイドの方々程のハードユースでは無いが、bib pantsとの干渉やシェルとの擦れなどそれなりに負担が掛かっているはずだが、生地の特性なのか、使用頻度が増すほど着用者の動きに合ってくる。内側はグリッドバッカーフリースにより起毛しているので厚みの割に保温性が高く、アンダーレイヤーの選択と、オーバーレイヤーの組み合わせ次第で全シーズン通して使用可能。フードは常に被り、バラクラバと合わせて使用している。

なぜ、オーバーカフ?

もう15年程だろうか、グローブの選択肢で外せない条件が「オーバーカフ=袖口が長いモデル」である。一般的に使用率の少ないモデルだ。HESTRAの中ではHELI SKI,EXTREME MEITTBLIZZADO、EXPEDITION MITT 辺りがオーバーカフのモデルになる。

なぜ、オーバーカフを選ぶのか?幾つか理由を挙げるとまず、雪の侵入が少なく常に袖口がドライでいられる。ドライであると言う事は保温状態が良いという事。手首周りを冷やすと体温低下にもつながるので重要な部分だ。 他に、グローブの脱着が楽な事。アンダーレイヤー、インナーグローブ、ミッドレイヤーが上手くレイヤリング出来ていればインナーグローブが脱げる事無く脱着が可能で、外気に素肌をさらす事無くベンチレーションの開閉や細部の調整が可能だ。

スノーボードは腕の動きが多い。最近のジャケットは立体裁断とハンドゲーターのおかげで袖を引っ張り上げてしまい、手首が露出するは少ないだろう。しかし、手をついたり予想を上回る動きをした際、ベルクロがずれ雪が侵入する。でもオーバカフであれば、そんな事は気にせず次のターンの事だけを考えられる。袖のベルクロを気にしながらのライディングはスマートでは無い。

快適にライディング

『ハイエンドブーツ=ハードなフレックス』と言うイメージはおそらく、多くのスノーボーダーが持っているイメージだろう。なぜそうなったか分からないが自分も疑う事なくそう思っていたのは事実。しかし、それはこのブーツを履くまでの話だ。確かにハードなフレックスのブーツはしっかり感があり、いかにもホールド力が強く、ハイスピードでも踏ん張れるイメージが強いが、よほど考えられた縫製、素材選びで作られたモノでないとしっかりと足をホールドする事は難しい。しっかりとレースアップしても硬い素材の影響で足首がホールド出来ず、インナーの中で遊んでしまい結局、捻挫しやすくなってしまう。馴染んでくれば、、、と思っていてもシーズン週末だけ滑る方にとっては馴染む頃にはシーズン終了なんてケースも。新品からしっかり曲がり、1日も無駄にしない。このブーツならそれが可能だ。

ブーツに求められる条件は少なくない。優れた防水性も求められる。カラダに一番近く、ボードとカラダをつなぐ重要な部分だけに快適な状態を保ちたい。アッパーに取り付けられたネオプレーン製のカバーのお陰でタンの部分からの雪の侵入を防ぎ、高い防水性を得ながらブーツアウター、インナー底に貼られた断熱材により高い防寒性も兼ね備え、シーズン通して快適にライディングが出来る。

原山 拓也

Takuya Harayama

 

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次回は、1年中スキーができるよう、日本とNZのスキーシーズンを行き来する生活を始め、他の誰よりも滑り、夏を知らないままスキーに明け暮れ、アルペンから基礎スキー、モーグル、テレマーク、SKIMOと様々なジャンルのスキーで活動するマルチプレイヤー藤川 健氏の登場です。